1. VOCA展実行委員会から届いた文書 1996年4月23日(VOCA展をめぐる経緯について)
現代美術の展望 「VOCA展’97」 -新しい平面の作家たち-
主催 VOCA展実行委員会/財団法人日本美術協会・上野の森美術館
協賛 第一生命保険相互会社
拝啓
新緑の候、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
さて私どもは、1994年より現代美術の若手を支援するための新しい場として「VOCA展」(The Vision of Contemporary Art)という展覧会を、毎年開催しております。これは、平面に限定した展覧会で、別添推薦委員リストのように、全国の美術館学芸員、研究者、ジャーナリストなどに才能のある作家1名をご推薦いただきます。
第4回目の「VOCA展’97」は来春(1997年3月)開催の予定です。
つきましては、貴殿に、この展覧会への出品作家をご推薦いただきますよう、お願い申し上げます。
40歳以下(1957年以降の生まれ)で、現在もっともすぐれた仕事をしている作家、あるいはもっとも将来性のある作家1名をご推薦ください。
推薦された作家全員に出品を依頼いたします。そして依頼に応じて出品された作品は原則として全て展示いたします。(「VOCA展」では、将来性豊かな若手作家に対して、できるだけ広く門戸を開放したいと考えており、過去3回開催いたしましたVOCA展の出品者(受賞者を含む)についても、推薦・出品することができます。)
また、後日あらためてご依頼いたしますが、推薦委員の皆様には作家の推薦理由を600字以内でご執筆いただき、推薦理由は全てカタログに掲載させていただきます。
この「VOCA展」の内容につきましては、主として美術の専門家からなる実行委員会、および会場となります上野の森美術館の両者が企画をしております。なお、この展覧会は、第一生命保険相互会社より企業メセナという趣旨で全面的なご支援をいただいております。
突然のお願いにて、失礼かとは存じますが、なにとぞご協力いただきますようよう、お願い申し上げます。
なお、応募規定等の詳細は、<開催要項>をご覧ください。
敬具
「VOCA展」実行委員会実行委員長 高階秀爾
趣旨
21世紀の開幕が刻一刻と近づきつつある今日、成熟した日本の経済を背景にした私たちは、世界へ、そして遠い未来へも発信できるような、私たちの顔としての文化を、私たち自身の手で育て上げたいと痛切に感じ始めました。過去10年あまりの美術ブームのあいだに、日本全国に新しい美術館が次々に建設され、世界の現代美術がかつてない奔流となって日本の隅々にまで流れ込んできました。私たちはこのような時代だからこそ、日本から世界へという反対の流れが必要であり、また、可能であると考え、「現代美術の展望『VOCA展』-新しい平面の作家達-」(The Vision of Contemporary Art) を創設いたしました。
この趣旨を実現させるため、この展覧会では、全国の美術館学芸員、研究者、ジャーナリストにお願いして、将来性のある若い作家を推薦していただきます。推薦者及び推薦理由は公表し、また推薦された作家全員に出品を依頼いたします。このようにして私たちは、日本全国の声をできるかぎり直接的に反映させたいと思います。私たちが待望する作家は 1.ユニークであり、いま・そこで制作していることの必然的な成果を具現しているもの、2.ねらいが明確で、国際的に通用する力強い表現力を持つ者であります。
この展覧会では、あえて範囲を平面に限定いたします。確かにここ20年間の美術の動きの中で、立体の仕事には目をみはるものがありました。美術館から街へ、そして自然へと出ていったのは、もっぱら立体の作品でした。しかし、今日あらためて平面に立ち返ってみることは、意義のあることでしょう。立体の仕事で試みられたことは、平面のそれへもフィードバックされています。平面に限定しても、あるいは平面に限定すればなおさら、豊かな多様性が手にとるように見えるだろうと想像されます。私たちが望むのは、平面というメディアに対する意識に裏打ちされた作品であります。
この展覧会の開催にあたり、第一生命保険相互会社より全面的なご理解、ご支援をいただきます。企業によるメセナ事業の必要が叫ばれ始めた数年前にくらべて、今日、美術を取り巻く社会、経済の状況はかなり悪くなってまいりました。私たちは、そのような時だからこそメセナ事業に意味があると考え、同社にご支援をお願いしましたところ、快くご承知いただきました。この展覧会は主として美術館の専門家から構成されます『VOCA(ヴォーカ)展』実行委員会および会場となります上野の森美術館が主催し、第一生命保険相互会社の協賛のもと運営されます。
以上の趣旨にできるだけ多くの皆様のご賛同をいただきたく、ここに謹んでお願い申し上げます。
平成5年 春
『VOCA(ヴォーカ)展』実行委員会
副委員長 酒井忠康 (神奈川県立近代美術館長)
山本長弘 (第一生命保険相互会社顧問)
委員 建畠 晢 (多摩美術大学教授)
本江邦夫 (東京国立近代美術館 美術課長)
宮崎克己 (ブリヂストン美術館 学芸課長)
釼持邦弘 (上野の森美術館 美術担当事務局長補佐)
市川哲夫 (第一生命保険相互会社 社会文化事業室長)
開催概要
-
会期 1997年3月15日(土)〜30日(日)
会場 上野の森美術館
推薦委員
実行委員会により、全国の美術館学芸員、研究者、ジャーナリスト等から34名を選出し、「VOCA展」出品作家1名の堆薦を依頼します。
出品作家
「VOCA展」推薦委員の推薦にもとづき、本展実行委員会が依頼した作家。出品手数料は不要。
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40威以下(1957年1月1日以降生まれの人)。国籍不問。
過去3回開催した「VOCA展」の出品作家(受賞者を含む)も推薦・出品作家の対象に含む。
出品作品
平面作品。抽象・具象・素材は問いません。
出品時から遡って1年以内に制作された未発表の作品。
作品の大きさは、250cmx400cm以内(運送時で200×250cm以内)。作品の厚さは20cm以内。
個々の作品重量40kg以内。
複数作品、パネルの接合による構成、展示も可。
展覧会場内で制作を必要としない完成作品。
搬入
作品の借用、搬入は平成8年11月末〜12月初旬。
作品の借用、返却は主催者が行います。但し、主催者の費用負担は日本国内に限ります。
選考出品
作品は、原則としてすべて展示します。
別記選考委員により、選考のうえ、優秀作品には別記の賞を贈ります。
選考委員
高階秀爾(選考委員長、国立西洋美術館長)
酒井忠康 (神奈川県立近代美術館長)
建畠 晢 (多摩美術大学教授)
本江邦夫(東京国立近代美術館美術課長)
賞
VOCA贅 1名 正賞およぴ副賞(賞金300万円)
VOCA奨励賞 4名 正賞および副賞(賞金150万円)
選考結果発表
選考の結果は、各出品者に郵送にて連絡します。
その他
出品作品に関しては、展覧会のカタログ・宣伝・広報の目的に限り、その写真の版権は主催者に帰属します。
※作品の展示場所につきましては、主催者側で決めさせていただきます。
※展示壁面の高さは展示室によって異なり250cm〜500cm。よって、タテ型の展示も可能です。
※詳細については事務局までお問い合わせください。
※搬入手続きの詳細につきましては、後日連絡します。
※入選作品は第一生命保険相互会社の収蔵作品となります。
※選考により「該当者なし」のこともあります。
問い合わせ
上野の森美術館「VOCA展事務局」 担当:石塚、窪田
〒110 東京都東区上野公園1−2
Tel 03-3833−4191 Fax 03-3836-0066
現代美術の展望-新しい平面の作家たち
1997年3月15日-3月30日
@上野の森美術館
1. VOCA展実行委員会から届いた文書▶︎
2. 梅津から実行委員会へあてた質問状▶︎
3. 事務局石塚氏からの回答▶︎
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