Aesthetic Life – Automatic

 エステティック・ライフ – オートマチック展は終了しました。


更新 2015年5月2日

はじめに


『エステティック・ライフ – オートマチック』展は、2010年に開催された中根・平田による二人展『エステティック/ライフ』展の第2回展として企画しました。中根と平田は1990年代にロンドンの大学院で美術を学び、現在は日本で活動をしています。イギリスのアーチスト、アミカン・トーレンのドローイングに詩で応えたピーター・スティックランドの『ROME automatic』という一冊の本を起点に、国際的な舞台で活躍するウエダ・リクオ氏、新進気鋭の版画家鈴木智惠氏、そして1994年に30歳の若さで亡くなられた小林潔史氏の小彫刻作品と、年齢も出自も使用するメディアも異なるアーティストを強い意志でつなぎ、いまだ無い「エステティック」な展示空間を構成します。

展覧会のタイトル「エステティック」という言葉は、「美の」あるいは「審美的な」などと訳されますが、「aesthetic」という英語の語感とその訳語との間の微妙な差異に着目し、日本語で意味がこぼれてしまう「エステティック」な日常を体感、その「エステティック」な日常に悦びを持つことこそが「美術」の本質であり、逆にその過程から派生する「美術」こそが、私たちの日常を救済するほとんど唯一の手段であると私たちは考えています。

多様な現実を抱える社会の中で、過去や未来と多角的に思考的コンタクトを取る「リニアではない」ものの考え方が私たちには求められており、このような視点で捉えられる「エステティック」な日常を自らの力で獲得し、他者とともに「エステティック」な悦びを共有することが可能な世界を構築し、その世界を「エステティック」に生き抜く。私たちの『エステティック・ライフ – オートマチック』展でその美術の形を提示できればと強く願っております。

 

エステティック・ライフ - オートマチック  Aesthetic Life – Automatic


全ては1冊の本から始まる。アミカン・トーレンがローマ滞在中に描いた、どこか欲望を喚起するオートマチック・ドローイングは、ピーター・スティックランドの手に引き渡された。オウィディウスの『変身物語』巻 15「ジュリアス・シーザーの神化」からシーザーの暗殺を予兆(portents) するいくつかのセンテンスが抽出され、それはまたオートマチックに分 節化されると、オートマチックにドローイングを欲望しては渾然一体となり、遂にはこの世界を予兆する70 章の新たなテキストとして再生産される。『ROME automatic』はかくの如く存在する。

本という形式はオートマチックを欲望する。本を手に取るという行為 はまさにオートマチックであり、人はオートマチックにページを繰るだろう。ページはまた次のページへとオートマチックに受け渡され、オートマチックに物語を発生させるだろう。オートマチックな空間に立ち上 がった物語は、また受け手によってオートマチックに欲望され、新たな物語としてオートマチックに読み替えられねばならない。

『ROME automatic』は、展覧会の企画者のひとり平田星司によって日本語空間に解放される。時空は歪みながら古代ローマから英国を経て日本に到達するが、またそれは同じ筋道を遡っていく行為でもある。全て はオートマチック自身の欲望なのだ。「エステティック・ライフ」とは、1996 年にロンドンで開催された『The pleasure of aesthetic life』展と、それを企画したアミカン・トーレンに捧げるオマージュである。そして全てはオートマチックが仕掛けた欲望であり、そして罠でもある。

巨大な騒ぎは続いて起こる…。ウエダ リクオは風を奏でる装置として、オートマチックにドローイングを生成するシステムを構築する。詩は生まれ言葉は生まれる。小林潔史は手のひらに自身の体温と地球の重さを感じる。だがそれが真にオートマチックを纏うのは、手のひらに自らの 死をそっとのせてからだろう。言葉は失われる。

鈴木智惠の眼は自らの皮膚である服を捉える。服を縫う眼とそれを板上にトレースする眼はオートマチックに等価である。平田星司は支持体とメディウム(皮膜/皮膚)の関係あるいは無関係を宙吊りにし視覚化させる。プロセスは常態的にオートマチックである。中根秀夫は観る者の記憶に交感する視覚装置を調整する。水滴はオートマチックに流れ落ち、意識の中で視覚は失われる。

 

出品者


中根秀夫 平田星司 (企画)
アミカン・トーレン/ピーター・スティックランド ウエダ・リクオ 小林潔史 鈴木智惠

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Aesthetic Life – Automatic のための覚え書き


鎮西 芳美 Yoshimi Chinzei

本展は、2010年に中根秀夫・平田星司両氏が企画した『Aesthetic Life』展の続編である。前回の展示は、1990年代半ばにロンドンで美術を学んでいた二人が、帰国後各々の発表を経て後いわば満を持して提示したものであったものと言う。「と言う」としたのは、残念ながら私はそれを見ておらず、だから本当は、このようなテキストを書くということに、正直、戸惑いを感じてもいる。一方、彼ら二人の企画の端緒が過去に行われたひとつの展覧会であったということは、日頃美術館で展示に携わっている私にとって特に興味深いことであった。したがって、拙文を寄せるにあたって何か接点を探すとすれば、やはり「展覧会」ということになろうか。これより先、それを頼りに「aesthetic life」について考える糸口を掴みたいと思う。

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開催情報


エステティック・ライフ - オートマチック  Aesthetic Life – Automatic

日時:2015年4月6日(月)〜 4月19日(日)水曜(8日、15日)休廊
11:30~19:00(最終日は17:00まで)
会場:トキ・アートスペース
東京メトロ銀座線外苑前駅下車3番出口より徒歩5分
〒150-0011 東京都渋谷区神宮前 3-42-5 サイオンビル1F (Map)
tel. 03-3479-0332
観覧無料

 

関連企画 トークセッション


現在活躍中の学芸員お二人をお迎えしてトークセッションを行います。予約不要。各回ともに1時間程度。

11日(土)17:30〜 鎮西 芳美 (東京都現代美術館学芸員)
18日(土)17:30〜 李 美那 (神奈川県立近代美術館学芸員)

▶︎トークセッションについて

 

特別連携企画


宅 Shoomy 朱美さん企画ライブ “ Personal landscape ” Aesthetic Life – Automatic Version
展覧会期間中の4/16( 木 ) に、シューミーさんこと宅 Shoomy 朱美さんが、外苑前のZ.imagineで(トキ・アートスペースも外苑前です)展覧会に連携するライブを企画してくださいました。4月16日( 木 )は皆さまもぜひ展覧会→ライブとお楽しみください。

4月16日( 木 ) 外苑前 「Z・imagine」
“ Personal landscape ” Aesthetic Life – Automatic Version

宅 Shoomy 朱美 ( P.Vo )
かみむら泰一(Ts・Ss)
落合康介(B)

open 19:30 start 20:00
charge ¥2500(drink 別)
ジマジン TEL:03-3796-6757
港区北青山2-7-17 青山鈴越ビルB1F
地下鉄銀座線外苑前、2番3番出口すぐ